『塩サバ１号のハワイ日記（その３）』

『塩サバ１号のハワイ日記（その３）』

　えーと、どこまで書きましたっけ。そうそう。飛行機で勇躍トイレへ行く、という場面でしたね。しかし俺、どうでもいいこと書いているなあ。で、トイレへ行ったわけです。すると、どうにも鍵のかけかたがわからん。うーん。私は悩みました。このまま鍵なしで用をたしてしまおうか。でもそうすると、いきなり誰かが扉を開けて入ってきてしまう恐れがある。ワタシのハズカシー姿を人に見られてしまう。もしそんな辱めを受けるくらいなら、ワタシ舌を噛みきって死んじゃうんだから。などと思っていたのだが、あれこれしているうちに何とかドアの鍵はかかって、ノースウエスト機のトイレで謎の変死体が発見されるという事態だけは避けることができた。ほっとして席に戻る。そうすると、隣の空席にウイスキーのミニボトルを２本かかえた同じ会社のムッチーがやって来た。いや、今勝手につけた呼び名なんだけどね。ほら、このＨＰって思いつきだけでやってるから。ここでジャズファンなら、「ストレート、ノー・チェイサー」といきたいところだが、あいにく、ああ、牛肉と豚肉をまぜた挽き肉ぅ？それは合いびき肉。あいにく私は酒がそんなに強いほうじゃない。ビール１杯で真っ赤になってしまう、ちょっぴりシャイな当時２５歳だ。困っているとスッチーがやって来て、ムッチーは蜜蜂ハッチー。いかん。邪念が多すぎて前に進まん。ムッチーは「コップ、アイス、アンド、ウォーター」と注文し、そのままどこかへ去っていってしまった。おい。このウイスキー、どうしろというのだ。私に飲めというのか。俺の酒が飲めねえのか、オラオラ。というのか。ま、飲むけどね。しばらくすると、私のテーブルの上にコーラと水と氷とコップがどかどかと届けられた。自分でコークハイなり、ラリハイなり、水割りなり、ひきわり納豆なり、勝手に作って飲め、ということらしい。おーいネーチャンはどうした、ネーチャンは。と叫ぶ人もいるだろうが、かまわないんだ、僕は。ガイジンのネーチャン、来なくてもいいからね、と思いながら自分で水割りを作って飲む。こうして機内の夜は更けていくのだった。

　ウイスキーを飲みおえてぼーっとしていると、ガイジンのオニーチャンがやって来た。オニーチャンはもっと来なくてもいいんだってば。しかしやって来てしまったニーチャンはこともあろうに私に話かけてくるのだ。

　「Youh fetguko deswkll frdjik hhyy hi girdes?」

　なんてことを聞いてくるのだ。何語や、これ(↑)は。

　よくわからなかったので、「このお兄さんのことは見なかったことにしよう。」と無視してると、やがてどこかへ行ってしまった。かかわりあいになりたくない時は無視。これが鉄則ですね。あいまいなジャパニーズ・スマイル浮かべて、「ハーイ、ジョージ！ＯＫ、ＯＫ、カモン、レッツゴー！」なんて言ってしまった日にゃ、何されるかわかったもんじゃありません。

　今から思えば、「テーブルの上のコップ等の物件を当方にて処理してもよいものか否か。」と言うようなことを聞いていたんだろうけど。

　ヘッドフォンを装着してチャンネルをがちゃがちゃいじくっていると、どうやらジャズらしき番組に遭遇した。ブルーノート・レコードとか、ミシェル・ペトルチアーニなんて言葉が聞こえてくる。ペトルチアーニって聞いたことないしなあ、と思って時計を見ると、針は午前１時をさしていた。もう寝るとするか。確か朝の７時着だったよな。５時間くらいは寝れるだろうか。

　と考えていた私はアサハカだった。ショーコーだった。時差のことをまるっきり考えてなかったんですね。２時頃に目が覚めて、ふとまわりを見渡すと、ちょうど窓際の客がブラインドを上げたところだった。

　アサー。見事なまでに朝でした。なんちゅうことだ。さっき寝たと思ったら、もう朝なのだ。それも９日の夜に飛行機に乗ったのに、目が覚めたら９日の朝なのだ。日本時間で２時半頃、全員が無理やり起こされて、無理やり朝飯を食わされる。食えねえって、そんなもん。そして飛行機はいよいよホノルル空港に到着するのだった。

　ハワイ日記、３回目にしてようやくハワイ寸前。次回はいよいよです。

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