『のぶおとはる子』
　高校生の頃、「キリスト教倫理」の授業で見た映画『未成年の性』。みんな期待 に胸を膨らませ、ワクワクしながら始まるのを待っておりました。（一部ジャズ・ジャ イアントのコーナーにて既報。）いやあ、なかなかやってくれますね、ラカラ神父。「 ラカラ、スペインへ帰れ！」なんて黒板に落書きしてゴメンね。
　
　　　　　※
　
　のぶおは異常にふけた（推定年齢３２歳）高校生であった。のぶおの母は彼のこ とを
「オクテっと言うんでございましょうかねぇ。ガールフレンドもいないんざますの よ。ほほほ。」
と思っていた。しかしそれは大きなアヤマチであった。
　
　ある日、のぶおは風邪をひいて家で寝ていた。すると中学時代のテニス部の後輩 であるはる子が見舞いにやってきた。
「いやっ、なにするの！」
「えへへ、ぐへへ。」
　
（以下、青少年に悪影響を与えると思われるので省略する。）
　
　そして数ヶ月が過ぎた。
　
　　はる子　「のぶちゃん、私デキちゃったの。」
　　のぶお　「えっ、なんだって！いったい僕はどうしたらいいんですかぁ？」
はる子の父　「いったいどういうことなんだ。おいオッサン！説明してみろ！」
　　はる子　「いやあねえ、お父さん。なに興奮してるの？」
はる子の父　「これが興奮せずにいられるか。女子高生がオッサンと・・・、はあ はあ。」
　　のぶお　「お父さん、興奮の種類が違うような・・・」
　
はる子の父　「お前は黙ってろ！」
　　のぶお　「・・・・・」
　　はる子　「お父さん、なに勘違いしてるの。ほら、これ。」
　　　　　　（はる子、カラフルな四角い箱のようなものを見せる。）
　　はる子　「ほらルービックキューブ、デキちゃったの。６面全部色が揃ってる でしょ！」
はる子の父　「お前はいつの時代の人間じゃあ！」
　
　そして数ヶ月が過ぎた。
　
　　　　　※
　
　　はる子　「のぶちゃん、私デキちゃったの。」
　　のぶお　「えっ、なんだって！いったい僕はどうしたらいいんですかぁ？」
はる子の父　「今度は任天堂のテンビリオンがデキたとか言うんじゃなかろうな？ 」
　　はる子　「いやあねえ、お父さんったらぁ。コドモよう。赤ちゃんがデキたの 。」
はる子の父　「なんだそうか。それならいい。」
　
　そして１ヶ月が過ぎた。
　
　　　　　※
　
はる子の父　「よく考えたらちっともよくない！」
　　はる子　「いやあねえ、お父さんったらぁ。今頃気がついたの？」
　　のぶお　「いやあねえ、お父さんったらぁ。」
はる子の父　「お前に言われる筋合いはない！」
のぶおの母　「オクテっと言うんでございましょうかねぇ。ほほほ。」
はる子の父　「どこがオクテなんじゃあ！」
　　はる子　「お父さん、私、産みたい！」
はる子の父　「何をバカなこと言ってるんだ。お前はまだ高校生だろ！学校はどう する！」
　　はる子　「子供を育てながら学校に通うの。昔テレビでもやっていたじゃない 。」
　　のぶお　「“高校聖夫婦”ってやつですね。主演の伊藤麻衣子がこれがまた・ ・・」
はる子の父　「お前は何をしたり顔でしゃべってるんじゃあ！」
　　　　　　（はる子の父、のぶおを張りとばす。）
　　のぶお　「あ〜れぇ〜！」
　　　　　　（のぶお、はる子の父に張りとばされて、どこかへとんでいく。）
のぶおの母　「オクテっと言うんでございましょうかねぇ。ほほほ。」
はる子の父　「オバハンもひっこんでな！」
　　　　　　（はる子の父、のぶおの母を張りとばす。）
のぶおの母　「あ〜れぇ〜！」
　　　　　　（のぶおの母、はる子の父に張りとばされて、どこかへとんでいく。 ）
はる子の父　「頼む、頼むからおろしてくれ！」
　　はる子　「わかったわ。お父さんがそこまで言うのなら・・・」
　　　　　　（はる子、八百屋へ駆け込み大根を１本買ってくる。）
はる子の父　「ばか！だれが大根をおろせと言った！」
　
　そして１ヶ月が過ぎた。
　
　　　　　※
　
　　はる子　「のぶちゃん、私デキちゃったの。」
　　のぶお　「えっ、なんだって！いったい僕はどうしたらいいんですかぁ？」
　　はる子　「いやあねぇ、一月前にも言ったでしょ。もう忘れたの？」
　　のぶお　「いや最近、トシのせいか物忘れがはげしくて・・・」
のぶおの母　「中年性痴呆症っていうんでございましょうかねぇ。ほほほ。」
　　のぶお　「ほっといてください。」
はる子の父　「はる子、まだおろしてなかったのか。頼むからおろしてくれ！」
　　はる子　「わかったわ。お父さんがそこまで言うのなら・・・」
　　　　　　（はる子、魚屋へ駆け込みアジを１匹買ってくる。）
はる子の父　「ばか！だれがアジを３枚におろせと言った！」
　
　そして１ヶ月が過ぎた。
　
　　　　　※
　
　　はる子　「のぶちゃん、私デキちゃったの。」
　　のぶお　「えっ、なんだって！いったい僕はどうしたらいいんですかぁ？」
　　はる子　「なんなのよ、この話は！学校で見た映画とぜんぜん違うじゃないの よ！」
　　のぶお　「そんなこと僕に言われても・・・」
はる子の父　「はる子、まだおろしてなかったのか。頼むからおろしてくれ！」
　　はる子　「わかったわ。お父さんがそこまで言うのなら・・・」
　　　　　　（はる子、銀行へ駆け込み普通預金を・・・）
　　全員で　「ええかげんにせえ！！」
　
　そうこうしているうち、はる子はめでたく女の子を出産した。
　 　　　　　（終わり）

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