【タイトル】
『はぢめての海 〜 グアム１日目（その１）』
 
（前回までの粗筋）　県庁で緊張した僕は、夜中にグアムに到着した。
 
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　夜中の２時頃に食うと雲丹…おっと、タイプミス。夜中の２時頃に空港に到着し た僕たちはバスに乗って一路ホテルへと向かいました。普通、夜中に向かうホテルと言 えば相場は決まっていて、それは例えば「離雑踏（りぞうとう）」という名前のすけべ ホテルだったりするわけですが、今回の僕たちは違います。「ホテル・ウエスティン・ リゾート」という、れっきとした立派なリゾートホテルでありまして、しかしどうして 「ウエスティン」なんでしょうね？「ウエスタン」だったら「ウエスタン・ラリアット 」とか「日光ウエスタン村」とか、日本でもずいぶんとなじみが深いわけでありますが 、「ウエスティン」となるといけません。おじさんがこのホテル名を正確に発音するこ とは困難を極め、思わず「ウエスチン」などと言ってしまいます。そして
 
　　・団地妻　愛に飢え、吸う　チンの午後
 
などという、わけのわからない珍句を読んでしまいます。でも僕はヤングだからぜ んぜん大丈夫で、正しく「ウエスティン」と発音出来るわけでありますが、もしもホテ ルの名前を忘れそうになった時には団地妻の俳句を思い出そうと心に誓い、ホテルのロ ビーに足を踏み入れたのでありました。で、ロビーのそふゃあに…、あ、名古屋弁が出 ちゃいましたね。ロビーのソファーに腰を降ろしてツアコンのおねえさんの説明を聞き 、あ、ツアコンのおねえさんというのはツアー・コンダクターのおねえさんのことなん ですが、ツアコンのおねえさんというのはボディコンのおねえさんほどではないにしろ 、なかなかに魅力的な存在でございまして。少なくともイカクンのおねえさんよりは上 ？と個人的には評価しているわけありますが、そのツアコンのおねえさんいわく、「オ プショナルツアーを頼んでない人も、まだ潜り込めるのがあるかも知れないので言って くださいねー。」とのことでありまして。オプショナルツアーを何にも頼んでなかった 人である僕は、さっそく言い寄ってみることにしたんですけどね。えっとぉ、とにかく ウインドサーフィンというのをやってみたいと思っているんだども。。。という自らの 希望を明確に伝え、過蛮カラ、もぉ、蛮カラ過ぎぃ。。。…って、なんて無理のある変 換をするんでしょうね、ザウルスの辞書。ところで「蛮カラ」の「蛮」というのは「野 蛮」の「蛮」だと思うんですが、「カラ」というのはいったい何なんでしょうね？カラ アゲの略ですかね？野蛮カラアゲ。何だかあまりソソられるものがありませんね。食べ ると下痢しちゃいそうで。とまあ、それはともかく、鞄からパンツと一緒に突っ込んで あったパンフを取り出し、あらかじめアタリを付けておいた「オーシャン・ジェット・ クラブ」というオプショナル・ツアーのページを指差して「これにするぅ♪」と頼んで みたところ、「明日の朝、申し込んでみますね。多分だいじゃぶだと思いますので、早 めに起きてくださいねー。」という大変よい返事が得られたので、僕はすっかり安心し て眠りについたのでありました。
 
とまあ、このあたりまで原稿を書き進んだところで、突如として家にあるパソコン がぶっ壊れました。いや、以前から不調の兆しはありまして、その証拠に『one finger snap』のコーナーの「ぱそこん」というところにはこのような記述がございます。
 
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これも今ひとつ調子が悪く、いきなり暴走していろんなウインドウが勝手に開いて 終始がつかなくなり、あたかも“すけべリンク集”をたどっているうちに「無限ポップ アップ・ウインドウ地獄」に陥ったような状態になることがままあります。そろそろ寿 命かも知れませんなぁ。。。
 
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とか思っているうちに次第にウインドウズの立ち上がりが怪しくなってまいりまし て、それでも騙し騙しデジカメの画像をハードディスクに落としたりしているうちに、 とうとう本格的に立ち上がらなくなっちゃいました。どうやらハードディスクが不能に なっちゃったようで、こういう状態のことを専門用語では「ＨＤのＥＤ状態」と呼ぶそ うでありますが、こうなってしまうと岡田クンがＡＢＣストアで買ってきた“バイアグ ラもどき”を飲んだくらいではどうにもならず、とうとう僕のパソコンは役立たずにな ってしまいました。で、グアムで撮ってきた写真も、ぜーんぶマリアナ海溝の底へと消 えてしまいました。いや、パソコンに落とした時点で元のデータも消しちゃったもんで 。。。で、失意のあまり脱衣マージャンに耽ったりしていたわけですが、幸いにも頼ん でいた２万円の中古ノートパソコンが手元に届き、現在はそれを用いて原稿を執筆して いるわけでありますが、ということでグアム初日の朝。「早めに起きてくださいねー。 」というおねえさんの言葉に忠実な僕は朝の６時に起床して、とりあえずカーテンを開 けて窓から外を覗いてみました。すると、おお！目の前に広がるエメラルドグリーンの 海♪…という予想とは裏腹に、何だか今ひとつぱっとしない景色が広がっていたんです が、このホテルは道路に面したロビーがいきなり５階というよくわからん造りになって おりまして、僕が泊まっている６階は実質的には２階の窓から見る程度の眺望しか開け ないという仕組みになっているんですな。それでもまあ、視線を斜めに転じると海もち ゃんと見えてまいりまして、評価としては７０点というところでしょうか。とりあえず 納得してトイレに入って用を足し、いざ流そうとすると水の勢いがあまりにもパワー不 足でありまして、日本人のささやかなウンコですら流すことが出来ずに、こんなことで アメリカ人相手に商売が成り立つのか！？という義憤に駆られると同時に、残されたウ ンコを前に呆然と立ちつくしてしまいました。一人部屋なら知らん顔をしてそのまま放 置する、あるいは手ですくって窓から放り投げるなど、いくつかの処置方法も考えられ るわけですが、不幸にも今回は二人部屋であります。処置を誤れば後世まで「いなば君 はグアムでウンコを流さなかった。」もしくは「いなば君はグアムでウンコを手ですく って窓から投げた。」と言われ続けてとんだ恥さらしになるに違いなく、どうしよう。 。。と半泣きになりながらもう一度レバーを押してみると今度は難なく流れて、こんな ことならパンフレットの「トラベル・インフォメーション／基本情報」のところにちゃ んと「グアムの便所は“二度流し”が原則」と書いておいて欲しかったものですなぁ。
 
とまあそんなわけで、トイレにおけるウンコ問題が無事に解決して、すがすがしい 気分でロビーに降りて行ったわけでありますが、ツアコンのおねえさんの姿は見当たり ません。やっぱりまだ早すぎたかぁ。。。と反省し、しばらく外をうろうろ散歩して時 間を潰して戻ってきても、やはりおねえさんの姿はありません。ここにきて僕は非常な 不安に襲われました。ついに見捨てられたか？？？なんせ僕はこのおねえさんに何の断 りもなく「田川裕子」という実名まで出してその企画立案能力をＷｅｂ上で論ずるとい う、とってもひどいことを前回の原稿で行っているわけでありまして、そんな彼女が僕 のことを見捨てたとしても、それは因果応報というものではあるまいか？そう考えた僕 は直ちに過去の罪を悔い、今度から彼女の名前を出す場合は「畠山裕子（仮名）」にし てこうと心に誓ったわけでありますが、とりあえず一度部屋に戻って時間を潰し、８時 前にもう一度ロビーに降りていくと、おお！裕子おねえさんが何の衒いもなさそうな風 情でうろうろとしているではありませんか。そこで悪露屡悪阻屡…って、さすが２万円 の中古パソコンだけあって、無茶苦茶な変換をしますなぁ。もしかして元の持ち主は「 族カンケー」の人ですかね？…って、ただ僕が「おろるおそる」とタイプミスしちゃっ ただけですね。で、裕子おねえさんに恐る恐る「あのぉ、昨日頼んでおいたオプション は、どうなりましたでしょうかぁ？」とお伺いをたててみると、おねえさんは「えっ？ 」というような顔をして、「まだまだぁ。」と顔の前で手を横に振るのでありました。 どうやらホテルのツアーデスクが始まる９時にならないとどうにもならないようであり まして、だったら「早めに起きてくださいねー。」もクソもないだろうに。。。という 気がしないでもないんですが、ま、ウンコだって２回レバーを押さないと流れないよう な土地柄なので、細かいことを言っても始まりませんね。で、部屋に戻ってぼーっとし てると８時５０分ぐらいに裕子おねえさんから電話があって、「とれたー。９時４０分 のピックアップでぇす。」ということだったので、ここでふと思い立って円をドルに両 替しておくことにしたんですけどね。旅行前に貰った旅程表には「外貨は現地にて日本 円より現地通貨米ドルに換金できます。」と書いてありまして、昨夜の裕子おねえさん の話によれば「ホテルを出てまっすぐ行ったところにある免税店の向かいの両替屋さん がオススメ。」ということだったんですが、朝の散歩の時点ではよくわかんなかったん ですよね。というか、外には現地のヤンキーな兄ちゃんしか歩いておらず、このまま裏 通りに連れ込まれてオカマを掘られちゃったらどうしよう？と思うと恐くてたまらず、 いや、日本人は絶好の獲物だって言うしー。で、散策もそこそこにホテルに引き上げた 次第でありまして、で、韓国の時はホテルのフロントでも両替出来たなぁ。ということ を思い出し、行ってみると案の定だいじゃぶでありまして、裕子おねえさんも余計なこ とを言ってくれたなぁ。。。などと思いつつ２万円を両替したのでありました。いや、 レートが外の店のほうが安いということでオススメしてくれたんだと思うんですけどね 、裕子おねえさん。あまり余計なことを書くと見放される恐れがあるのでここは慎重に ならざるを得ませんが、それにしても円安ですなぁ。昔だと１万円＝約１００ドルとい った感覚であったわけですが、２万円を出して戻ってきたのはわずかに１５７ドルであ りまして、手数料も取られているんでしょうが、何だか５千円くらい損した気分になっ ちゃいます。で、裕子おねえさんにオプショナルツアー２日分の代金３０ドルを渡し、 ホテルの近くのカリフォルニア・マーケットというところで１５ドル出してビーチサン ダルを買うと、もう手元には１００ドルそこそこしか残っていないのでありました。
 
さて、ここで僕が頼んだ「オーシャン・ジェット・クラブ」というオプショナル・ ツアーについてご説明しましょう。えーと、手元のパンフレットの４７ページを開いて ください。日本では小型船舶４級の免許を必要としますが、グアムでは誰でもライセン スなしでＯＫのジェットスキー。また、仲間と陽気に楽しめる、バナナボートやらパラ セイル等々、すべてのツアーのお客様がお好きなだけビーチ施設をご利用いただけます 。と書いてありますね。いいですねぇ、ビーチ。ビーチでぴちぴちギャルと“プチプチ ”潰してみるぅ？って感じですよね。“プチプチ”というのはクッキーなんかの缶に入 っている指でプチプチと潰す緩衝材のことなんですが、やっぱりグアムのビーチといえ ば“プチプチ”ですよね。が、残念ながらこのツアーのプログラムに“プチプチ潰し” は含まれてないんですが、替わりにマリン系のアクティビティは各種用意されておりま して、各自がやりたいものに合わせて色々なパックを選択することが出来る仕組みにな っております。例えばバナナボートとジェットスキーとパラセーリングが各３０分ずつ 体験出来る「ファンパック」が８５ドル、ジェットスキーだけ３０分の「ジェットスキ ー」というパックが４０ドルと言った具合でありまして、で、ウインドサーフィンだけ やりたくて、ジェットもパラもバナナもぜんぜんやりたくない僕としては１５ドルの「 アイランドパック」というので十分なわけでありますな。だいたいバナナボートなんて ものはギャルと一緒に乗ってこそ楽しいものであって、で、ギャルと一緒に乗ったら乗 ったで「や〜ん、このバナナ、とっても大きいのぉ♪」と、あてつけのように言われる のがオチでありまして、ただ傷つくだけなので近寄らないほうが無難でありましょう。 で、アイランドパックの１５ドルというのが一番安いのか言うとそうでもなくて、その 下には「ビーチ見学」（無料）というのもあるわけですが、それを除けばもっともビン ボー臭いパックであることは間違いありません。例えば「ジェットパック」なら「アイ ランドパック」の内容にジェットと昼食が付くといった具合なんですが、そんな最貧民 のアイランドパックだってそれほど捨てたものではなく、利用できるアクティビティは 全部でなんと１１種類！アイスティー、ペダルボート、ビーチマット、卓球、カヌー、 ビーチバレーボール、水上三輪車、ウインドサーフィン、ビーチゲーム、スノーケルと いう豪華なラインナップは、これ１台で何と４種類ものトレーニングが可能です。腹筋 、背筋、腕立て伏せ、ひねりあがり腹筋！という通信販売で売っている万能トレーニン グマシンにも匹敵する充実ぶりと言っても過言ではないでしょう。「あ、来ましたよぉ 。楽しみですねぇ。」と言う裕子おねえさんの羨望の眼差しに見送られ、僕はさっそう とピックアップ用のワンボックスカーに勇躍乗り込んだのでありました。
 
（続く）
 

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