【タイトル】

島田は暇だった（２）

【所 在 地】

静岡県島田市・吉田町他

【アクセス】

（前回までのあらすじ）おっさんが「神田川」を歌ったところ、女に「それを言う なら大井川！」と言われ、キレかかる。

【ガ イ ド】

　遠州灘。吉田町の隣の榛原町あたりから御前崎まで、ひたすら海岸です。接着剤 がなかったもんでカーマ・ホームセンター榛原店へ買い物に行き、ちょっと車で走った らたまたま海岸に出ました。ずーっと砂浜が続いています。相撲取りにいたなぁ、ハワ イ出身の砂浜。そんなわけで「いい旅・夢気分」の一行は海に来ています。スタッフが 海を見ながら相談しています。

　「いいね、いいねえ。ちょっとカリフォルニアのビーチみたいだねぇ。」

　「これでサーファーでもいるとサマになるんですけどねぇ。」

　「でも今、冬だからねぇ。」

　残念そうに煙草をくゆらします。そこに車がやってきて、中から兄ちゃんと姉ち ゃんが降りてきました。

　「おう、そこの若き青年よ。キミ、サーフィンやらないかい？」

　「えっ、俺？やらねーよ。このクソ寒いのに。」

　「まあまあ、そうかたいこと言わないで。ねっ。テレビに出してあげるから。」

　「えっ、テレビ？」

　姉ちゃんが目を輝かせます。そしてカメラやら照明やら、色々な機材に目をとめ ます。

　「あんた、やりなさいよ。」

　「え、やだよー。だいいち俺、海パンとか持ってないしぃ。」

　「お兄さんはトランクス派かな。それともブリーフ？」

　「え、あんたトランクスだよねー。」

　女が答えます。なんでそんなこと知ってるんだ。あやしい２人やなー。

　「じゃ、問題ない。水に浸かれば海パンだか普通のパンツだか、わかりゃしない って。」

　「でも俺、サーフィンなんかやったことないぜ。」

　「大丈夫、大丈夫。どうせ板もないし。水の中で動いてりゃ、おぼれてるんだか サーフィンだかわかりゃしないって。」

　兄ちゃんは無理やり服とズボンを脱がされ、パンツ一丁で海の中にじゃばーん！ と投げ込まれます。

　「ひゃあーーっ！」

　そこで撮影開始。

　「あ、このクソ寒いのにサーフィンしてる人がいますよぉ。」

　「あ、本当だ。物好きですねえ！」

　撮影が終わって兄ちゃんはブルブル震えながら海からあがってきます。唇はムラ サキ、チアノーゼ。

　「うううう…。」

　「ねえ、ギャラでるの？」

　姉ちゃんが、自分はゲラゲラ笑って見ていただけなのにそんなことを言います。

　「そんなもんなし、なし。テレビに出れるだけでありがたく思わなくっちゃ。あ 、缶コーヒーあげるわ。さっき間違えて冷たいの買っちゃって。」

　「あ、ねえ、ディレクター。」

　地図を見ていたスタッフの１人が声を出します。

　「すぐ近くに静波リゾートビーチというのがありますよ。」

　「お、いいね、いいねえ。じゃ行ってみようか。」

　そこへ行ってみるとドライスーツを着込んだ本物のサーファーが何人かいました 。

　「おうおう、これこれ。やっぱ本物じゃなくっちゃ！」

　「ヤラセはいけませんもんね！」

　こうして決死のパンツ・サーファーの映像は、永遠にボツになったそうです。

　うん。会話ばっかにするとラクですねぇ。これからもこのパターンにするか。と いうわけで、いつの間にか「いい旅・夢気分」になってしまったこの企画、まだ続きま す。

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