【タイトル】

島田は暇だった（３）

【所 在 地】

静岡県島田市・吉田町他

【アクセス】

（前回までのあらすじ）通りすがりの兄ちゃんは決死の覚悟でサーフィンしたが 、結局放送されなかった。

【ガ イ ド】

　さて、島田です。「島田は暇だった。」というタイトルやのに島田の話が全然出 てこんやんけー、おんどりゃわれー、いてもうたろか、とお怒りの島田市民もいること でしょう。島田市民のくせに何故か関西弁ですが。ガラ悪いし。島田はですね、ホテル に泊まっただけです。東名の吉田インターに近い「ルートイン島田」というところで、 付近にはなーんもなかった。隣のフィリピンバー、潰れてるしぃ。いや、やっていても 行く気はないが。しかたがないので一番弟子サミーからもらったペヤング・ソース焼き そば食べました。電気湯沸かしポットがあるんですね、ビジネスホテルには。でも割り 箸がないんですね。しかたなく蛍光ペン黄色と青色で食べました。いまだにキャップの 隙間に青ノリが挟まっています。とれません。ちょっぴりソースの香りもします。でも おいしかったので写真撮りました。以上、島田の紹介終わり。いや、ちょっと車で市内 を走ったんですけどね。メシ屋を探して。でも適当なところがなくて結局、吉田町のト ンカツ屋に入りました。富士写真フィルムの工場の近くで、いつも前を通ってたのでチ ェックしてたところ。国道から一本奥に入ってて、オッチャンとオバチャンが２人でや ってる大衆的なところかなーと思っていたら、これが大違い。「良善（よしよし）」と いう店なんですけどね。メニューの値段を見てびっくり。あまりにびっくりしたので思 わず作業服の胸ポケットから手帳を出してメモしちゃいました。ヒレカツ（上）２５０ ０円、ロースカツ（上）２２００円。ステーキもありました。和牛ヒレ４３００円、サ ーロイン３８００円、角２５００円。むっちゃ安いやん！これなら近所のコドモが学校 の帰りにオヤツがわりに買っていけますね。おばちゃん、サーロインひとつ！とか。も っと安いのはないのか。なに、おこさま１０００円！コドモのくせに１０００円のもん 食うな！コドモはせいぜい高くても６４０円！トンカツは（並）だと１０００円も安く なります。ヒレで１５００円。とりあえず私は「おろしトンカツ（並）」１２００円と いうのを頼みました。出てきたカツを見て、再び唖然。ニクが分厚いーっ！

　「わあっ、分厚いですねぇ、サナエさん。」

　「ホントですねぇ、塩野サバ男さん。」

　いい旅・夢気分の２人もこの店に来ています。男のほうはいつの間にか塩野サバ 男という名前になったようですが。女は牧之原サナエね。

　「サナエさん、これ何センチくらいあると思いますぅ？」

　「さあ？でも３センチ近くはありますよねぇ。」

　「正確にはですね…」

　サバ男はポケットから三角定規を取り出します。

　「２．７センチです。」

　勝った！とおじさんは思いました。まあ、サバ男さんって用意がいいのね、頭も いいのね、カッコいい！って、テレビの前の主婦はもうメロメロだろうな。なんて思う と、おじさんは思わず口元のあたりが「ぐふふ」と緩んでしまうのを抑えることができ ません。実際は、なんだこのオッサン。あほちゃうの？と茶の間の笑い者になってるだ けなんですけどね。

　「もっと正確にはですね…」

　サナエがポケットからノギスを取り出します。

　「あ、２７．３ミリですぅ。」

　馬鹿にされた！おじさんはたちまち不機嫌になります。

　「なにもそこまで正確に計らなくても…」

　この時、スタッフの一人がサバ男にそっと紙切れを手渡します。それに目をやる と

　「マイクロメーターなら１００分の１ミリまで計れます。ファイトでえす、サバ 男さん！」

　そのスタッフのほうを見ると、彼はサバ男を見てウインクぱっちん。コイツ、俺 の味方だな。カワイイ奴め。

　「ぼく、ちょっと用事を思い出したから。」

　サバ男は店を抜け出すとあわてて付近を走りまわり、１時間くらいしてようやく 念願のダイヤルゲージを手に入れました。

　「ははははは、サナエさん。もっと正確に言うとですねって、誰もおらんやん！ 」

　あたりを見回すとサナエもスタッフも誰一人としておらず、テーブルの上にはす っかりさめたサバ男のトンカツと、空になった皿が山ほど。そこに店のおばさんが来て 一言。

　「お勘定、３６８００円！」

　払えるのか？サバ男。大丈夫か？サバ男。この話、次回に続きます。

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