【タイトル】
オーストラリアは冬だった（旅立ち編）
【所 在 地】
南のほう
【アクセス】
　とりあえず桑名駅から近鉄かＪＲに乗って名古屋へ行きましょう。大山田ニュー タウン付近の住民なら特急バスという手もありますね。名鉄バスセンターから名古屋空 港までは直通バスが出ております。約３０分、８７０円です。名鉄で西春まで行って、 そこからバスという手もありますが、どちらが安くて早いのか、よくわかりません。名 古屋からオーストラリアまでは、運賃は高いんですが飛行機に乗るのが無難でしょう。 １人分の運賃を浮かすためには「トランクに詰められて手荷物になる。」という手もあ ります。この方式、運賃が助かる以外に次のようなメリットもあります。
１．Ｘ線手荷物検査の時、ついでに結核の検査をしてもらえる。この手荷物、肺の 部分に影がありますなぁ、とか。
２．空港で荷物がベルトコンベアで流れてくる時、回転寿司のネタになった気分が 味わえる。
　ということで名古屋からケアンズまでは６時間４５分、そこからブリスベンまで は１時間３０分くらいです。シドニーへはケアンズから３時間ですね。オーストラリア の都市を形がよく似ている四国に例えるとケアンズが高松、ブリスベンが徳島といった ところ。シドニーやキャンベラはもっと南の室戸岬あたりになります。パースがちょう ど宇和島あたりですね。高知や松山といったあたりにはコレといった都市はないようで す。
【ガ イ ド】
　６月２４日（水）曇り。午後３時半に家を出ました。家を出る。グレた少年の基 本ですよね。グレた中年である私も家を出ました。家を出てオーストラリアへと向かい ました。グレた少年の行き先は桑名駅前パルだとか、名古屋の矢場町の松阪屋だとか、 せいぜい頑張っても新宿のゴールデン街とかまでですが、中年になってからグレるとス ケールがでかいのです。経営不振で膨らむ累積赤字も何のその、エンジン焼こうがスー パー停電させようが、一度決めたことは意地でもやる。やる言うたらやる。かくして塩 サバ物産（仮）創立５０周年記念オーストラリア旅行は世間の顰蹙をよそに、無事強行 されるはこびとなりました。
　
　桑名駅から近鉄に乗ると、たまたま下校途中の女子高生の一団と一緒になりまし た。いやあ、うるさいわ、スカート短いわ、嘆かわしいわで、なんとかならんのか、あ りゃ。途中で降りた一団など駅のベンチに座って足を組むもんだからパンツまる見え寸 前、思わずオーストラリア行くのを止めて１週間ここで観察していようかと思ってしま いました。しかしアチラには金髪のネーチャンがいる。思い直した私はそのまま名古屋 駅まで電車に揺られていったのでした。名鉄バスセンターからバスに乗って名古屋空港 へ。予定の時間より１時間以上も早い５時に到着してしまいましたが、たいへんヒマで あるウチの会社の連中は続々と集結してまいります。ここらで我が塩サバ物産御一行の 編成を整理してみましょう。うちの会社は名古屋の本社の他に津・岐阜・大阪に営業所 がございます。大阪なんて４人くらいだけど。社員数５０人くらい。妻、息子、娘、母 、愛人、鉄人、暇人、肥満児、麒麟児などを同伴している人もいるので総勢１００人く らいになります。それを先発・後発の２班に分け、更に先発隊はゴールドコースト〜シ ドニー組とゴールドコースト滞在組に分別収集されます。私は先発・ゴールドコースト 滞在組、業界用語で言うところの「１−２班」に分類されました。
　
　さて、出発までの話題は「外国製品の持ち出しをどうするか」及び「食い物の持 ち出しをどうするか」の２点に集中しました。「外国製品は出発前に申請しとかんと、 帰ってきた時にゼニ取るでぇ。」というような書類がありますよね。ゼニとられる。こ の一言が人民をパニックに陥れました。私もエルジンの定価１０万円、だけど通信販売 では絶対１万９８００円で売られている時計を通信販売で１万９８００円で買ったんで すが、悩んだ末にセイコーのにしておきました。だいたい、外国製品ってどこまでを含 むのか。そんなこと言うたら、今着てる服も鞄も靴も全部中国製やん！そんなものまで いちいち申告せねばならんのか。
「パンツ：トランクスタイプ。青地に赤い星をちりばめた、ちょっぴりお洒落なタ イプ。１枚。」
「パンツ：ブリーフタイプ。基本を大切にしたシンプルなデザインにスノーホワイ トのカラーが目に眩しい。３枚。」
なんて書いた書類を係員に提出して、
「チミはトランクス派なのかブリーフ派なのか、いったいどっちなのぉ？」
なんてネチネチとしつこく詰問されたりするのか。帰国時には衆目の面前でズボン をぬがされ、
「チミぃ、なにこのパンツは。黄色に緑のピンストライプじゃないのぉ。申告した パンツと違うじゃないのぉ。追徴課税１７円！」
とか言われて。
で、みんなで協議した結果、ヴィトンのバックはまずい（申告すべき）、スウォッ チの時計も書いたほうがいい、中国製のパンツは大丈夫だろう、というようなところに 落ち着きました。
　
　続いて「食べ物の持ち出し」。オーストラリアは食べ物の持ち出し（アッチから 見れば持ち込み）にどえれぇ神経質で、食い物カンケーを持ち込む場合はすべからく事 前に申請すること、なんて書類が配られてきました。もし申告せずに食べ物を持ち込み 、それがバレた場合にはむっちゃ罰金取られてもやむを得ないでござんす。なんてこと が書いてあります。これがまた人々をパニックに陥れました。しかも英語で申告しろ、 だって。添乗員さんより手書きのアンチョコが回覧されます。
「あられ：RICE CRACKER　　飴：CANDY　　ガム：CHEWING GUM」
なんてヤツ。サバの味噌煮とかを持ち込もうとする人は直ちに売店へ和英辞典を買 いに走らねばなりません。幸い私はブランド品も食べ物も一切なーんも持ってなかった ので気楽なものでありました。
　
　さて、出国手続き。外国製品を持ち出す人は深刻な顔で申告してくださいね。見 ているとそれほど面倒でもなさそうなので、それほど恐れるに足らずといったところで す。あとはパスポートと出国カードを見せて、いよいよ出国です。ワクワクするなぁ。 思わず畑を耕してしまいそうになりますね。（←それは「クワ」。）１時間ほど待って 、いよいよ飛行機に搭乗です。ワクワクするなぁ。思わず畑を耕してしまいそうになり ますね。（←それは「クワ」。←←しつこい。）
　
　そうそう、書き忘れたことがひとつ。よく一般に「雨男」とか「雨女」とか呼ば れる人がいますよね。その人が旅行とか行事に出席すると必ず雨が降るという、とって も迷惑な存在の人。ま、「町内対抗雨乞い合戦」とかだったら喜ばれるかも知れません けど。同じような存在として、主に海外旅行時に暗躍する「飛行機遅らせ男」というの もおります。彼が乗る予定の飛行機はまちがいなしに出発が遅れるという、これまた迷 惑な存在です。このツテでいうと私は「地震発生集団・ナマズダー」（←なんてオトナ ゲないネーミング）の一員なのであります。私と村田ファミリーが一緒に旅行をしたの は過去２回だけなんですが、２回とも大地震に見まわれました。最初のハワイ旅行の時 は旅行期間中に北海道南西沖地震が。スキー旅行に行った時は翌日に阪神大震災が。今 回も村田ファミリーと同じ班だったのでもしやと思って掲示板に「地震予知」しといた んですが、都合が悪くて村田ファミリーは急遽キャンセル。かくして日本は地震発生集 団・ナマズダーの魔の手から逃れることが出来たのでした。よかったよかった。
　
　さて飛行機。３−４−３の、合計えーと７たす３は１０列のシートです。私の席 は右列の真ん中。ちょうどトイレの間横で、「用、足したい放題やん！」という便利な 位置関係でありました。席につくとすぐにオレンジジュースのサービス。ゼリーのよう な半球状の容器に入ったヤツです。三河乳業製なのが涙を誘うナァ、さすがはナゴヤ空 港。そうそう、飛行機に乗ってすぐ、私達は恐るべき事実に気がついて愕然といたしま した。
「スチュワーデスがおらんやん！」
おっさんばっかで金髪のネーチャンが１人もおらんやん。なんちゅう飛行機だカン サス航空！わざわざ見たくもない「白人・金髪・美人・もろ」サイトで慣れる訓練をし たというのに、私の努力はいったいなんだったの？そんなわけで塩サバ物産（仮名）御 一行は、暗い名古屋の空に暗い旅立ちを遂げたのでありました。
　　　（ブリスベン編に続く）

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