【タイトル】
オーストラリアは冬だった（ゴールドコースト編−１）
【所 在 地】
南のほう
【アクセス】
（前回までのあらすじ）
カンガルーは奈良公園の鹿状態だった。
【ガ イ ド】
「あ、海が見えて来ましたよぉ。」
「あ、ホントですねぇ志摩子さんって、なんでアンタがおるねん！」
「いや、志摩子さんの俳句が素敵♪っていうメールをいただきまして、はるばるオ ーストリアのウィーンまで・・・」
「オーストラリアやろ！」
「いや私、地理に弱くって。辛いの駄目なんですよねぇ。」
「それはチリソース！」
「というわけで、リクエストにお答えして一句。ブリスベンの空港に降り立った時 の情景を詠んでみました。
　
　　　突然の　冬が来たりて　心燃ゆ　（志摩子）
　
というわけで今回から「いい旅・夢気分〜ゴールドコースト編」。実に思いつきだ けのテキトーな企画ですねー。
　
「ということで志摩子さん、どこへ行きましょうかぁ。」
「私、ショッピングに行きたぁい。」
「では免税店でものぞいてみましょうかぁ。」
「わぁい。私、豚肉２００グラム買うぅ！」
「なんでやねん！」
「おじいちゃんからお土産を頼まれたんです。死ぬ前に一度でいいからヴィトンの 豚肉を食べたい・・・」
「売ってねーって！」
「いや、ヴィトンカツっていうトンカツがあるはずだって・・・」
「ねーって！おじいちゃん、ちょっとボケとんのとちゃう？」
「いえいえ、元気なもんですよぉ。今日も朝食を食べてすぐに、志摩子や、飯はま だかぁ？って言うくらい食欲旺盛で・・・」
「あかんやん！」
　
ということでオーストラリアでも最大規模を誇るという「ＤＦＳ」という免税店へ 。いや、それほどたいしたことはなかったですが。「ＤＦＳスタンプラリー」というカ ードをくれました。５０ドルお買い上げごとにスタンプを１つというヤツですね。１５ ０ドルで「よーし、シャンペーンだ。」（原文ママ）、３００ドルで「わーい、クリッ ピングコアラ１２匹だ。」、５００ドルで「やった！２０ｃｍコアラちゃんだ！」だっ て。
　
「オトナをなめとんのかぁ！って感じですよねぇ。」
「ホント。いいトシしてクリッピングコアラなんかねぇ。」
「そんなコドモだましの景品なら俺は３００ドル分買い物するぞ！」
「買うんかい！」
「で、１匹１ドルのクリッピングコアラを３００匹買う。」
「買うなよ！」
「で、景品に１２匹貰って、こんなもん３１２匹もどうすんだよぉ！」
「知るか！」
　
　さて、ゴールドコースト。ここは南太平洋に面したビーチが延々４２キロもつづ いております。中でもメインになるのが「サーファーズ・パラダイス」と呼ばれるビー チ。
　
「ここサーファーズ・パラダイスは文字どおりの“サーファー天国”で、別府温泉 の“血の池地獄”と並ぶ観光名所なんですよねっ。」
「並べるなよっ！」
「波は高いしサメは出るし、まさに天国に一番近いビーチ・・・」
「あぶねーって！」
「でもだいじょうぶ。オーストラリアのサメはとっても臆病なので、人間を見ると 甲羅の中に首や手足をひっこめちゃうんですよね。」
「カメじゃねーって！」
　
　サーファーズ・パラダイスにて海を眺めて詠めり。
　
　　　冬の海　歩く２人に　陽は優し　（志摩子）
　
　　　冬やんけ　ビキニのねえちゃん　おらんやん　（塩サバ１号）
　
冬とはいえ、そこは亜熱帯。朝晩は冷えるけれども昼間は暖かく、お日サマもぽか ぽか。Ｔシャツ１枚でもだいじょうぶ。とはいえやっぱり冬。金髪水着ギャルというの はほとんど見ることは出来ませんでした。その無念さが発句の「冬やんけ」によく現れ ていると思います。（ちなみに３日で計４人くらいは観測できました。）
　ウェットスーツを着たサーファーが何人か海で波乗りしております。まあ日本の 冬でも物好きな兄ちゃんが遠州灘でサーフィンしてたりするので別段不思議ではありま せん。遊泳区域にはサメよけのネットが張ってあり、ライフガードのお兄ちゃんもしっ かり待機しております。遊泳区域には「赤と黄色」の旗が立っているので、命が惜しか ったらその２本の旗の間で泳ぐようにしろ。といった感じの注意看板も出ておりました 。遊泳区間はわりとせまく、５０メートルもないくらい。それが広いビーチのところど ころに点在しております。いやあ、見渡す限りの砂浜。ハワイ出身の相撲取り「砂浜」 もびっくり、という感じです。この広さは３日目に実際に歩いてみて実感したんですが 、この話はいずれ機会を見て書くことにしましょう。実はゴールドコーストに昼頃につ いた初日は昼食を食べ、免税店を見たあとはホテルに直行したので、実際には海岸へは 行っておりません。が、そこはそれ「いい旅・夢気分」ということで若干の編集をして みました。ほら、あの手の番組って８７パーセントまでは「やらせ」だし。川へ行った ら「偶然に」村一番の鮎釣り名人に会ったりするし。道歩いているバアさんに、「ここ らへんにいい旅館ありませんかぁ？」と聞くと、必ず「ああ、この道をまっすぐ行った ところに温泉宿があるずら。」ということになるし。で、テレビカメラかついで押しか けると、「お待ちしてましたぁ。」といいながらニコヤカに女将が出てくるし。お待ち しとったんかい！
　
「というわけで、今晩泊まる旅館を探さなければならないわけなんですが、近くに いいところありますかねぇ、志摩子さん。」
「そうですねぇ。あ、向こうから偶然に地元の方らしいおじいちゃんが歩いてきま すよぉ。」
「あのおじいちゃんに聞いてみましょうかぁ。おじいちゃーん！」
「オー、ユーアー、ジャパニーズ。アイ・アム・ア・オージージジイ！」
「オージージジイとか言ってますよぉ。おじいちゃん、オージージジイって何です かぁ？」
「オー、オーストラリアのウシ、イズ、オージービーフ。あーんど、オーストラリ アの爺ぃ、イズ、オージー爺ぃ！」
「・・・。」
「というわけで、偶然に初めてここで出会ったちょっぴりオチャメなお爺ちゃん、 若い頃には地元で日本語の教師をしていたというケンドーン・ナガサッキーさんでぇす 。」
「なんちゅうベタな名前！」
「オーストラリアの有名なデザイナー、ケン・ドーンにちなんでテキトーに名付け てみましたぁ。」
「本人は納得してるんかい！」
「もちろんです。では自己紹介してもらいましょう。」
「ニホンのミナサン、コンニーチハ。ジュードーン・クマモットーでぇす！」
「間違っとるやん！」
「ハーイ、オーストラリアのウシ、イズ、オージービーフ。あーんど、オーストラ リアのおじや、イズ、オージーおじや！」
「しかも言うとること、つまらんやん！」
「おかしいですねぇ。村一番の“おもろい爺さん”という触れ込みだったんですが ・・・」
「オーストラリアの親父、イズ、オージーオヤージ！」
「まだ言うとるやん！」
　
　ということで、ケンドーン・ナガサッキー爺さんには直ちに引き取っていただき 、結局このシーンはカットされることに。いやこの手の番組で、期待されていた「素人 さん」が全然使えない、ということはよくあります。気をとりなおして、一行はこれか ら４日間お世話になるホテルへと向かいます。ゴールドコーストの中心地、サーファー ズ・パラダイスから車で１０分くらい離れたブロードビーチというところにある「ホテ ル・グランド・メルキュール」。２２階建てくらいのホテルです。下のほうは「オアシ ス」というショッピング・センターになっていて、２４時間営業のカジノがある「コン ラッド・ジュピターズ」とはモノレールで結ばれております。
「わおぅ、モノレールですよぉ。なんか凄いですねぇ。」
　
ショッピングセンターとカジノを結ぶモノレールを眺めつつ詠めり。
　
　　　オアシスと　つかの間の夢を　つなぐ軌道（みち）　（志摩子）
　
　　　儲けたら　思いきり無駄遣い　したるからな　（塩サバ１号）
　
「カジノって、思わぬ力が出たりしますよねぇ。」
「ビギナーズ・ラックという言葉もありますからねぇ。志摩子さんもチャレンジし てみますぅ？」
「普段ならとても動かせないようなタンスを背負って逃げたり・・・」
「それは火事場！」
　
　こうしてゴールドコーストの夜は更けていくのでありました。ちなみに私はカジ ノへは行かずじまい。いや、塩サバの原稿書きが忙しくって。流行作家は辛いっす。
　
　さて来週は早起きして「日の出」を見にいった話、「ムービーワールド」の話な どを書きます。ではまた。

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