『塩サバ５号の“おろしや国紀行”（その10）』

『塩サバ５号の“おろしや国紀行”（その10）』

　塩サバ５号＠真鯉（まっこい）さんの「おろしや国紀行」もついに（その１０）まで来ました。ご苦労様ですね、何の得にもならんのに・・・。

　ではつぎに、モスクワ市のサンクト・ペテルブルグ駅に置いてきぼりをくった皆さんがたのお話をしましょうね。

　置いてきぼり。

　　「床の間に置いて。木彫りの熊。」と　北海道土産

　いいなぁ。欲しいなぁ、木彫りの熊。

　先行する団員の後ろ姿を見失った１３人のうち、不安にかられる１０人を駅の売店そばに止めて、先行団員の捜索に向かった３人が２０本を越えるホームの一番はじのホームにいる先行団員を「アッ。いたいた」とすばやく発見、待っている１０人のところに駈け戻りました。

「急げー！」

再びはぐれないよう声を掛け合いながら人込みをかき分けかき分け、改札口もない入り口から駅構内に入り・・・確かに改札されなかったナー。ソーいえば改札するのは日本と、あとどこの国かしら？

　改札。最近では自動改札が多くなりましたね。自動改札を切符を持たずに強硬突破するには、次のような方法が考えられます。

　１．前を歩いている人に密着して強硬突破

　２．匍匐前進で強硬突破

　３．背面跳びで強硬突破

３の場合、着地したとたんに床で腰を強打するという危険性がありますね。あらかじめ改札の向こうにフカフカのマットを敷いておくといいでしょう。改札の向こうへ行くには、切符を買って改札の機械に通せばＯＫです。

　・・・やっと目指すホームにたどり着いたのが２３時２０分で「ヤレヤレ間に合った」。ああソレナノニ、ソレナノニ・・・皆を残して音もなく動き出した列車の後ろ姿は次第に小さくなって行き、何がなんだかさっぱり分からず呆然と見送る団員に、遥か遠くから赤いテールランプが「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」。

　ガックリした皆さんは駅舎にもどり、添乗員さんが英語で交渉。「今日の列車は午前１時までにあと３本あるけど乗れる保証はない」と。ダメな時はホテルの交渉をしなくちゃ。「アーア。これからいったいどうなるの？」。駅のコンコースに紙を敷いて座り込む団員。ミジメー。

　バターで炒めるとおいしいキノコ？それはシメジー。先週からこんなんばっかやな。先へ進みましょう。

　添乗員さんいわく「さっき皆さんに配ったシャンペンを集めさせていただきまーす。これ駅の係員へのプレゼント用ネ」と駅構内のインツーリストへ。オヤオヤ、団長さんがピーナッツと柿の種をカバンから取り出してインツーリストのヒゲの責任者にすすめてます。ホホウ、彼の机の上のウオッカで一杯やり始めましたよ。

　世の中には柿の種とピーナッツを分別して別々に食べる人がいますよね。あれだけは許せません。パートのおばちゃんの立場を考えたことあるのか！と言いたい。亀田には「柿ピー担当のパートのおばちゃん」というのがいて、柿の種３に対してピーナッツが１の割合になるよう、一粒ずつ数えながら袋に詰めているんです。いわば柿ピーは山田徳子（仮名・４７歳、趣味は社交ダンス）の汗と涙の結晶なのです。たまにピーナッツをつまみ食いしすぎて鼻血を出したり。ということで、妙にピーナッツの比率の少ない柿ピーは徳子が鼻血出しながら袋詰めしたものである可能性が高い。ということを覚えておいても何の得にもならんでしょう。

　アラ、こんどは金粉入りの日本酒の四合ビンをシャンパンに並べてデスクにデーンと立てました。その酒ビンを振りながら「日本で最高級の酒でーす。キラキラしている金粉はあなたの身体にも良いんですヨー」。ヒゲさんは柿の種をポリポリやりながら「フムフム」と心はすでに珍品の酒の方へ。世界中どこでもやはり魚心あれば水心ですねー。金粉入りの酒が大奏功。午前０時３０分、遂に全員の席を獲得できました。バンザーイ。

　地下鉄はどこから入れるんでしょうね。それを考えると夜も眠れなくなります。それはマンザーイ。

　そして皆を案内したインツーリストの係員が一車両に二人づつ乗るようにと合図します。なぜでしょう？。難しい質問ですねー。実は、案内されたところは乗客用ではなく・・・乗務員用、ソウです、各車両についている車掌さん用の二人用二段ベットのコンパートメントだったんです。車掌さんはもちろん、くどいようですが殆ど女性です。突然に部屋を空けるように言われた車掌さんたちは、衣類の一部などを置き忘れたりしていたそうで、その肌着だかブラジャーだかをアイマスク代りに使わせていただいて熟睡できたハッピーな人もいたという、ウソのようなホントの話もありました・・・こういうのこそ「不幸中の幸い」と言うのでしょうか。

　ブラジャーのアイマスクかぁ。いいかもしんない。カタチ似てるしぃ。試したことはないけど。持ってないもんな、ブラ。誰か「使用済み」をプレゼントしてくれませんかぁ？というようなオジサンに私はなりたい。と宮沢賢治が言っていたような気はしません。

　朝知ったそうですが、自分たちのコンパートメントから追い出された（空けてくれた？）車掌さんたちは、それぞれ通路などで寝たんだそうですヨ。ここまでお客を大切にしてくれるとは、ありがたくもスゴイ話ですねー。生き別れになった一組の御夫婦は、異国での１１時間あまりの長ーい別れののちにサンクト・ペテルブルグ市で感激の再会をはたし、これまでにも増して仲睦次にまじくなりました、トサ。

　　　　　　　　　　　（つづく）

　ということで、いよいよ佳境に近付いてきたような気がするロシア日記、次回に続きます。そのころまでエリツィン、大統領やってるかなぁ。

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